昨日、登校した生徒さんと教室の外で少し話をしていると、
「先生、人類の起源はいつですか?」と質問を受けました。
(名古屋大学大学大学院 門脇研究所より)
定期テストは終わったものの、本日が学習確認テストということで社会の復習をしていた際、ふと疑問に思ったそうです。

この質問は一見シンプルですが、「現在の人類(ホモ・サピエンス)」の話なのか、「人類全般の進化の始まり」なのかで、答えが大きく変わるところが難しい点です。生徒さんもその点を不思議に感じたようでした。とても良い視点だなと思いました。
■人類の起源(人類全般として見る場合)

現代ビジネスより
人類の祖先として最初に登場したとされるのは、約 700〜500万年前 にアフリカに現れた 猿人 です。
この頃から二足歩行を始めたと考えられており、学校教育では一般的にここを「人類の起源」と説明します。
その後、約 200〜180万年前 に 原人 が登場し、
・打製石器を使用
・火の使用
・簡単な言語の使用
といった、より高度な行動をするようになったとされています。

ナショナルジオグラフィックより
ただし 原人は絶滅しています。
理由としては、気候変動や病気、近親交配による遺伝的多様性の低下、新しく登場した人類(ホモ・サピエンス)との競争など、複数の要因が重なったと考えられています。
■現在の人類(現生人類:ホモ・サピエンス)
ナショナルジオグラフィックより
私たちの直接の祖先である 新人(ホモ・サピエンス) は、
約 20万年前 にアフリカで出現したとされます。
その後、約 6万年前 にアフリカを出て世界中へ広がりました(「アウト・オブ・アフリカ説」)。
現在の人類は、このホモ・サピエンスにつながる系統です。つまり、皆世界中の多くの人は同じ起源なのに、ずっと戦争や争い事が耐えないのが不思議です。
アフリカから全世界に広がっていった現生人類(海部陽介氏による)
■他の人類との関係
人類史では、ホモ・サピエンス以外にも複数の人類が存在しました。
特に有名なのが、
・ネアンデルタール人(約40万〜4万年前、主にヨーロッパ)
・クロマニョン人(約4万年前、ホモ・サピエンスの一集団)
ネアンデルタール人は絶滅しましたが、最近の遺伝子研究により 現代人の遺伝子の中にも数%、ネアンデルタール人由来のDNAが含まれている ことが分かっています。

東洋経済より
近年のDNA解析の進歩により、異なる人類同士が複数回にわたって交配していたことも明らかになってきました。
そのため、人類の進化の流れはかつて教科書で習った以上に複雑であることが分かってきています。
■最後に
この20年で遺伝子解析が飛躍的に進んだことで、私たちが中学生だった頃に習った内容と、現在の知見には大きな差があります。
今後も新しい化石の発見や研究の進展により、さらに情報が更新されていくはずです。
こうした「進化の謎」に興味を持った生徒さんの姿勢を、とても嬉しく思いました。
好奇心が学びの原動力になる好例ですね。ちなみに、この生徒さん以外にもこういった分野に興味がある生徒さんが先日いて、私が持っている地球史マップという書籍を貸し出しました。

いま人類史マップという書籍も読んでいるので、読み終わったら教室に置いていおきたいと思います。





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